[2026年4月1週号]
【胆江南】南部鉄器の製造が盛んな奥州市水沢羽田町で「鐵喫茶a‐hūṃ(アウン)」を営む太田和美さん(38)。2024年に閉店した喫茶店「チロル」の店舗を引き継ぎ、同年9月にオープンした。鉄器を使った調理や地元食材を取り入れ、地域の人が気軽に立ち寄れる店づくりを続けている。

シェアキッチン制を導入し、通常メニューのほかにもたこ焼きやカレーなども提供している
太田さんは仙台市で美術や創作に関わる活動をしていたが、夫が奥州市出身だったことから奥州市へUターン。太田さんは、「これまでの経験を活かした活動ができないか」と、22年に奥州市の経営の知識を学ぶことができる「創業塾」に参加した。受講中に南部鉄器振興の地域おこし協力隊を募集していることを知り、23年6月に着任した。
「美術活動をしていたこともあり、職人さんへの憧れがあった」と太田さん。南部鉄器の振興に携わることで職人たちとの交流が実現した。太田さんは「羽田町で唯一の喫茶店『チロル』のもつ煮がおいしいと、職人さんからよく聞いていた」と振り返る。実際に来店して店を気に入ったが、すでに閉店が決まっていたという。「地元住民や職人さんが気軽に立ち寄れる場所がなくなってしまう」と感じ、店を引き継ぐことを決めた。
看板メニューは旧店の味を受け継いだ「もつ煮定食」。モツは同市の精肉店から仕入れ、ご飯は江刺産の玄米、小鉢にも地元産の野菜を使う。「夫の同級生が栽培したコメを購入している。野菜は地元の方からいただくことが多い。地産地消を意識した食材選びをしている」と太田さん。ほかのメニューにも、江刺産の規格外リンゴを使用した調味料や、同町のベーカリーのバゲットを使用している。
太田さんは「地元の方や職人さんはもちろん、新幹線の駅が近いので、旅行者も気軽に立ち寄って食事ができる場所として店を残していきたい」と話す。

鉄器の釜で炊くことで粒立ちがよく、歯ごたえと甘みが引き立つ